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社労士が知っておきたい契約実務

 

  • 就業規則で労働条件を定める
  • 面接で労働条件を伝える
  • 個別の労働条件を書面で交付する

これらすべては、「会社」と「従業員」の「契約」です。

ですから、条件を変更する際には、「契約変更」に関する正しい知識を持っていないと、問題が起こります!

しかし、社労士試験の範囲に「民法」は入っていないため、民法が定める「契約」の知識を持っていない社労士の先生も多いのが実情です。

2020年に改正民法が施行されます。

2020年に改正民法が施行されますが、改正内容には契約に関する事項が多く、この影響もあるのか、 最近の労働条件の設定・変更をめぐる裁判例においては、就業規則による集団的処理とは別に、労働者の個別的な同意が 求められるようになってきました。

 

山梨県民信用組合事件

例えば、退職金減額の効力が争われた山梨県民信用組合事件において、最高裁平成28年2月19日判決は、 退職金の支給基準を変更することの同意書面に署名押印をしたのに、労働者の同意があったとは認められないと判断しました。

本件では、当初、社労士が退職金を同一水準に保障するとの同意書案を作成し、これが職員説明会で配布されていました。 他方で、同時に支給基準の変更も口頭で説明されていました。この事実経過から使用者側としては、 職員には説明した上で同意を得たと認識していたわけですが、逆にちぐはぐとなった使用者の対応は評価されませんでした。

それでは、使用者の説明には何が足りなかったのでしょうか?

 

東亜ペイント事件の判決とその後

配置転換についてみると、これを会社の専権事項と考えている経営者は少なくありません。

リーディング・ケースともいえる東亜ペイント事件・最高裁昭和61年7月14日判決が、労働者の個別的な同意を不要として、 営業社員に対する神戸から名古屋への転勤命令が有効と判断しているので、このような考えを持つことは自然であるかもしれません。

しかし、会社の配転命令権はなぜ発生するのかというと、それは労働契約です。配転は労働契約の変更に当たりますから、 労働者の同意がない配転はリスクを伴います。

特に労働者の健康状態をめぐる争いが増えており、抑うつ状態により欠勤や休職を繰り返していた中学校教諭を配転した事案(鳥取県・米子市事件・鳥取地裁平成16年3月30日判決)では、 配転による病状悪化について損害賠償責任を認めました。

校長は、健康状態が悪化した教諭に対し、「よかれ」と思って、生徒数の少ない分教室への配転を命じたのですが、この違法性が肯定されました。

それでは、校長は配転に当たって何を考慮すべきであったのでしょうか?

 

Chubb損害保険事件

うつ病との関連では、休職した労働者が職場復帰をする際に降格や減給をすることがあります。

Chubb損害保険事件・東京地裁平成29年5月31日判決は、抑うつ状態により休職した労働者が職場復帰をする際に降格・減給された事案につき、 使用者が一方的に降格することは人事権を濫用すると判断しました。

そもそも減給を伴う降格について就業規則に根拠規定がなかったケースなのですが、仮に就業規則や労働者の同意があったとしても、 うつ病によりパフォーマンスが悪いという理由だけで降格・減給をすると無効となる可能性があります。

では、たとえばうつ病で休職した社員を復職後に降格・減給するにはどうしたらいいのでしょうか?

労働者の同意は取ればよいというものではなく、キーワードは「自由な意思」です。特に労働条件の不利益変更の場面では、 労働者に自由な意思を形成してもらうために、どのような説明を行い、何を配慮すべきであるのかが、労務管理において求められます。

この感覚を磨くことが労働トラブルを防止するために必要です。その意味で、社労士はもちろんのこと、企業の経営者や人事労務担当者も、 労使関係において契約の観念を意識する必要があるでしょう。

このセミナーでは、労働契約の発生・変更・終了の各場面で労働者の同意が問題となった裁判例を取り上げ、望ましい企業の対応を解説して頂きます。

顧問先に間違ったアドバイスをして、顧問先が「解雇無効」を求める訴訟などに巻き込まれてしまったら大変です。 是非、この機会に「契約」についての正しい知識を身に着けましょう。

 

講師からのメッセージ

社会保険労務士は、試験科目にないゆえに「民法が苦手だ」と聞いたことがあります。民法は、契約等によって発生・変動・消滅する権利義務関係の要件と効果を定めています。民法には雇用を定めた節が設けられていますが、労働契約も契約である以上、労務管理など労働相談を受ける場合も契約の観念を意識した方がよいでしょう。

就業規則は「会社の法律だ」という意見がありますが、これは一面として間違っていないものの、現在は労働契約法に就業規則が規律されていることからすれば、就業規則は労働契約書ともいえます。

労働条件を定めた就業規則を含め労働契約は労使の合意により決定され、または変更されるというのが労働契約法の原則ですから、企業としても、労働条件の設定や変更において労働者の同意(承諾)を得ることを常に意識しなければなりません。

労働契約に基づき、労働者が労務を提供するためには、①いつ(労働日・期間)、②何時から何時まで(労働時間)、③どこで(労務提供場所)、④誰(労務提供先)に対し、⑤どのような職務を行うのか(職種・業務内容)、⑥「労働の対償」としていくら支払われるのか(賃金)が定まっていなければならず、この契約内容の解釈をめぐって個別的労使関係上のトラブルが発生するといっても過言ではありません。

労働契約においても、労使の権利義務関係の発生、変動、消滅がありますが、特に変動、すなわち契約内容の変更をめぐって労働トラブルが発生することが多いです。

そこで、本講座では、契約の基礎知識を身につけ、裁判例も交えながら、労働契約の変更を中心に、企業が労働者の同意を得るためにどのように対応すればよいのかを解説します。

 

講座内容

  • 契約とは?
  • 一般法と特別法
  • 労働契約の基礎知識
  • 労働契約の成立、権利の発生
  • 労働契約の終了、権利の消滅
  • 労働条件の引下げ
  • 労働日・労働時間の削減
  • 職種・業務内容の変更
  • 配置転換、出向、転籍
  • 契約期間の変更

本セミナーの講義では、無期雇用契約の解約申入れの効力発生時期について定めた民法627条1項を任意規定と解すると、2週間より前に退職届の提出時期を就業規則に定めることができると解説しています。しかし、2020年4月より施行される改正民法では、この解釈が成り立たなくなると考えます

この問題への実務対応を含め、改正民法につきましては、「施行が迫ってきた改正民法による労働法務への影響~最低限知っておくべき実務知識とは~」で解説していますので、あわせてご覧ください。

【PSR正会員限定WEB配信】「施行が迫ってきた改正民法による労働法務への影響」
【DVD】「施行が迫ってきた改正民法による労働法務への影響」

 

講師紹介

佐久間 大輔 先生
つまこい法律事務所・弁護士 

1970年生まれ、1993年中央大学法学部卒業、1997年東京弁護士会にて弁護士登録。労災・過労死事件を中心に、労働事件、一般民事事件を扱う。近年は、メンタルヘルス対策やハラスメント防止対策などの予防にも注力しており、社会保険労務士会の支部や自主研究会で講演の依頼を受けている。日本労働法学会、日本産業ストレス学会所属。著作は、「過労死時代に求められる信頼構築型の企業経営と健康な働き方」(労働開発研究会、2014年)、「長時間労働対策の実務 いま取り組むべき働き方改革へのアプローチ」(共著、労務行政、2017年)など多数。


佐久間先生講師によるDVD「パワハラ発生!そのとき人事担当者はどう対応する?DVD」も販売中!

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開催概要

タイトル 社労士が知っておきたい契約実務
受講料 PSR正会員
23,426円(税込)
再生時間 約2時間20分
備考 【2018年6月15日撮影】

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