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第21回 退職の錯誤取消しについて知っておこう<前編>
前回(前編・後編)では、意思表示の瑕疵として錯誤、詐欺、強迫について解説しました。
そもそも意思表示とは何でしょうか。意思表示とは、具体的な法律効果を欲する意思(効果意思)を外部に表示する行為をいいます。
そのため、内心にある効果意思の内容、その前段階での動機が問題となります。第9回「雇用契約の解約・解除について理解しよう(前編・後編)」で、労働者から退職に関する申入れがなされた場合に意思表示の真意や背景を確認する姿勢が重要であると述べたのは、労使紛争となったときに効果意思の内容と動機が争点となり得るからです。
法的紛争となることが多い「錯誤」の定義は前回に述べましたが、要は効果意思の内容または動機に勘違いがあるということです。
意思表示の瑕疵において実務で問題となる場面の1つが、退職の意思表示です。退職の意思表示が錯誤により取り消されれば、使用者は労働者の復職を受け入れなければならないだけでなく、退職時に遡って未払賃金を支払わなければなりません。
今回は、メンタルヘルス不調による休職者が退職届を提出した事案につき、動機の錯誤が認められた裁判例(ピジョン事件)と認められなかった裁判例(マックスグループ事件)を比較し、両者の違いから、使用者がどのような点に気をつけるべきかを見ていきます。
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