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- “事務所のこれから”を考える一手としてのM&A ≪BRIDGE≫コラム Vol.12
信用の承継——「信頼ごと引き継ぐ」M&Aの本質
こんにちは、PSR M&Aサポートサービス事務局です。
「M&A」と聞くと、多くの方はまず“数字”を思い浮かべるのではないでしょうか。
売上、顧問先数、利益率、契約単価…。もちろん、これらは事務所を評価する上で欠かせない指標です。
しかし、社労士事務所のM&Aを支援していると、その数字の裏側にある“もっと大切な資産”が見えてきます。
それが 「信用」=顧問先との信頼関係 です。
社労士事務所の資産は“目に見えるデータ”だけではない
社労士の仕事は、法律・制度の専門性はもちろんですが、
顧問先の日々の相談に寄り添い、企業の成長や変化を見守りながら長く関係を築く仕事です。
たとえば…
- 採用面で悩んでいた社長に深夜まで電話で相談に乗った
- 給与計算の複雑なイレギュラー対応に、スタッフが丁寧に対応した
- トラブルの直後に駆けつけ、労使調整に奔走した
こうした“積み重ね”は数字には表れませんが、この無形資産こそ、社労士事務所のM&Aで重視されるポイントです。
「信頼のバトン」をどう渡すか——橋渡し期間の重要性
M&Aの成功と失敗を分けるのは、どれだけ丁寧に“バトンを渡せたか”。
ここには、数字だけでは測れないリアルな温度感があります。
実際、とある譲渡案件では、売り手の先生が約3ヶ月間、買い手の先生と一緒に
顧問先を訪問し、1社ずつ紹介を行いました。
「この先生ならきっと大丈夫です」
「今まで通り、いい関係を築いていただけると思います」
売り手の先生の言葉には力があります。
これまでの信頼関係があるからこそ、顧問先は安心してバトンを受け取れるのです。
その結果、この案件では顧問先の離脱はほぼゼロでした。
買い手の先生は「数字では買えない“信頼”を譲り受けた」と感じたそうです。
M&Aは「信頼を時間で買う」仕組みでもある
社労士事務所の信用は、短期間で築けるものではありません。
5年、10年、あるいは20年以上かけてようやくできるもの。
つまり、買い手にとってのM&Aとは、“時間を買う行為”と言い換えられます。
一から営業して、顧問先を獲得し、関係性を積み重ね…
普通なら数年かかるところを、信頼ごと引き継ぐことで一気に短縮できるのです。
売り手にとっても、「自分が築いてきた信頼が未来へつながる」という安心感が生まれます。
信頼は“方向性”が合う相手でなければ引き継げない
これは意外と知られていませんが、数字条件が良くても破談になるケースの多くは“信頼の方向性”が合わないときです。
- 顧問先に対するスタンス
- コンプライアンスに対する姿勢
- スタッフとの接し方
- 労務への価値観
これらがズレていると、どれだけ数字が良くても、自然な承継は難しくなります。
逆に、価値観が合う相手と出会えると、承継後の顧問先の満足度やスタッフの安定感は格段に上がります。
「信頼を未来へ残す」ことがM&Aの本質
社労士先生にとって、事務所は単なる事業体ではありません。人生の時間を注ぎ、顧問先と共に歩んできた場所です。
- 顧問先が「先生が選んだ相手なら大丈夫」と思えること
- スタッフが「この環境でまた頑張れる」と安心できること
- 買い手が「これまでの信頼を土台に、さらに発展させたい」と思えること
この3つが揃ったとき、M&Aは単なる“事務所の譲渡”ではなく、“信用の承継”という物語になります。
結果として、信頼の承継は“初期解約率”を下げ、買い手の経営リスクを最小化することにもつながります。
この視点こそが、社労士事務所のM&Aを考える上で最も大切だと私たちは感じています。
数字では測れないものを価値化して、確かに未来へ残していく。
それが、社労士事務所におけるM&Aの本質だと私たちは考えています。
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