2019/09/11(水) コラム
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カーネギー流「人を動かす」効果的な褒め方
デール・カーネギーの歴史的名著「人を動かす」。出版以来80年以上にわたり世界で1500万部以上売れ続けており、今も多くのリーダーたちに愛読されています。この中には他者を動機付けする方法が多数取り上げられており、その柱のひとつが「褒める」です。
ここでは、リーダーとして役立つ「カーネギー流」効果的な褒め方を紹介します。読むだけでなくぜひ実践してみてください。きっとリーダーシップや人間関係によい影響が表れるでしょう。
「TAPE」で褒めよう
デール・カーネギーではTAPE(テープ)で褒めることをオススメしています。テープのように相手の心に張り付いて印象に残る褒め方と覚えてください。
T: Thing(所有物)
A: Achievement(達成、行動)
P: Personality(人間性、特質)
───────────────
E: Evidence(証拠、理由)
まずはThing。これは相手が持っているモノを褒めるという視点です。
「いい時計してるね~!」
「髪切った?似合ってるね!」
これは目に見えるモノですので褒めやすいですし、相手も褒められて「でしょでしょ?」と嬉しいはず。
そしてAchievement。これは相手が成し遂げたことや相手の行動を褒める視点です。
「お客様から喜ばれてたね!」
「目標達成おめでとう!」
「この資料わかりやすくまとめてくれたね!」
これも嬉しいですね。「ああ、上司は見てくれてるな。よしもっと頑張ろう!」という気持ちになりますね。
最後にPersonality。つまり相手の人間性、特質です。
「前向きな性格だね!」
「いつも面倒見がいいよね!」
「責任感があるなあ!」
このレベルで褒められたらどうでしょう?人格や強みを褒められるというのは単にモノや行動を褒められるよりインパクトがありませんか?
「上司は単に私の仕事の結果だけでなく、人としても認めてくれている!」と思わず小躍りしてしまうでしょう。
しかし単に「~さんは責任感が強いよね~。いやほんと責任感あるよ。うーん責任感のカタマリ!」と畳みかけられてもあんまり嬉しくありませんね。「ん?なにが?」となりますね。
つまり理由、Evidence(証拠)が必要なんですね。
「~さんは責任感が強いよね~。だってこの仕事大変だったけど、最後まで諦めずにやりきったもんね!」
こう言われるとどうでしょう?
「そうでしょーそうでしょー♪俺頑張ったもん!いやーよく見てくれてるな!よし今日は飲みに行くのは我慢して、いつもより余計に仕事しちゃおう」となるでしょう(笑)。
「Unknown」を褒めて、未知の強みを気付かせよう
TAPEは褒めるポイントを説明していますが、じつは褒め方には「深さ」もあります。これを的(まと)に例えましょう。
まず的の外側を射る褒め方。これは「お世辞」です。
「いや社長!さすが!お目が高い!」
といったような相手をとにかく気持ちよくしてやろうというのがミエミエの褒め方です(笑)。まあ悪い気はしませんけど、「はいはい、どうもどうも」という程度のインパクトしか与えないでしょう。
次は「明らか」。これは褒める相手もきっと自分で気付いているだろという点を褒めるレベルです。
「~さんはいつも積極的だね。会議でもどんどん発言するもんね!」
「ありがとうございます!大した意見ではありませんが、積極性だけは誰にも負けません(鼻息)!」
これはいいですね。自分でも自覚している強みを他者からも認められれば自己肯定感がさらに高まります。モチベーションも上がるでしょう。
ここまではきっと多くのよきリーダーがすでに実践しているところでしょうが、さらに的のど真ん中「Unknown(アンノウン)」を褒めることにもチャレンジしてみてください。
「~さんは、すごく面倒見がいいね。新入社員にしっかり声がけしてくれて、彼らも嬉しそうだよ」
「え?あ、どうも…(面倒見がいいなんて初めて言われたぞ。俺はずっと一人っ子で育ったからむしろワガママと言われることはあったけれど、いや確かに言われてみればそういうところもあるかもしれない…)」
このようにその人物あるいは周囲の人々が気付いていなかった隠れた強みを教えてあげることです。Unknownとは「未知の、知られていない」という意味です。
相手をしてUnknownな強みを気付かせしめる価値は何でしょうか?つまりこれは相手の成長を目的とした褒め方だということです。
自分でも気づかなかった強みを新たに自覚できれば、もっと自信が高まります。そしてさらなる高みにチャレンジしようと思うでしょう。
そんな人を活かし、人を動かせるリーダーになろうではありませんか。
執筆者
石原 由一朗(Yuichiro Ishihara)先生
●デール・カーネギー トレーニング・ダイレクター
●カーネギー・マスター・トレーナー
大手製造業において、財務会計システムを中心として業務システム構築・運用のプロジェクトマネジメント、ビジネス開発に従事。その後、人事にて採用・教育部門の責任者として、新入社員研修、若手社員向け研修、管理者向け研修、昇格者研修などのトレーニングを企画・運営。その後、デール・カーネギー・ジャパンにてトレーナーとして多くの企業研修、公開クラスを担当。また、トレーニング・ダイレクター、カーネギー・マスター・トレーナーとして研修プログラムの開発、トレーナーの採用・育成を統括し現在に至る。
本記事が掲載されている特集:デール・カーネギーコラム
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