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- “事務所のこれから”を考える一手としてのM&A ≪BRIDGE≫コラム Vol.26
「見落としがちな盲点!」退職金設計とM&A DB(確定給付企業年金)との併用注意
こんにちは、PSR M&Aサポートサービス事務局です。
M&Aの最終局面、DDの席で、会計士が「先生、このDB(確定給付企業年金)の積立状況ですが…」と切り出す。
その瞬間、交渉の空気が変わることがあります。 経験豊富な先生ほど、「譲渡価格」と同じくらい、その横にある「退職金の設計」に強い関心を持っています。
理由はシンプルで、同じ1,000万円でも受け取り方によって手元に残る金額が大きく変わるからです。
1.「譲渡代金」と「退職金」で手取りは変わる
事務所を譲渡して得たお金を、そのまま「譲渡益」として受け取るのか、あるいは法人から「役員退職金」として受け取るのか。 この違いは、最終的な手取り額に直結します。
退職金には退職所得控除という大きな優遇措置があり、さらに控除後の金額の2分の1のみが課税対象となるため、通常の所得に比べて税負担が軽くなります。
加えて、退職所得には社会保険料がかからない点も見逃せません。そのため、「譲渡代金」と「退職金」をどう組み合わせるかが、出口戦略の重要なテーマになります。
ただし、譲渡直前に法人から大きな退職金を支払えば会社の現預金は減るため、買い手側から「その分、企業価値が下がるのではないか」という議論が出るのは自然な流れです。
これは単なる節税の話ではなく、価格交渉とのバランス設計なのです。
2. DB(確定給付企業年金)がM&Aで問題になる理由
顧問先の制度設計の参考として、事務所自身がDBやDC(確定拠出年金)を導入しているケースが増えていますが、これが思わぬ論点になることがあります。
積立不足の問題:DBは将来の給付を約束する制度です。もし積立金が不足していれば、それは潜在的な負債として見られ、買い手は当然そのリスクを評価に織り込みます。 DDの段階で初めて発覚し、価格調整になるというケースも少なくありません。
制度の引き継ぎ:買い手側が同じ制度を採用していない場合、スタッフの制度をどう扱うのか。
制度を継続するのか、それとも解散して精算するのか。こうした整理には、意外と時間と実務コストがかかります。
3.退職金設計は「数年前から」の準備が理想
退職金制度には「特定役員退職手当」など、一定の条件によって税制上の扱いが変わるルールが存在します。 例えば、役員期間が短い場合には、優遇措置が制限されるケースもあります。
そのため、M&Aが現実味を帯びてから慌てて設計するよりも、数年前から出口を意識した制度設計をしておくことが理想的です。 事務所のM&Aは、長年築いてきた価値を、最後の1円まで「賢く残す」ためのプロセスでもあります。
譲渡価格の交渉だけに目を向けるのではなく、退職金、年金制度、税制といった周辺設計まで含めて考えること。それが先生ご自身のキャリアの締め括りを、より納得感のあるものにしてくれるはずです。複雑な年金制度がある事務所こそ、事前の整理が不可欠です。
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