建設業の労働保険料 徴収漏れが約5,771万円 会計検査院が是正改善などを求める
会計検査院から、一括有期事業等に係る保険料が適切に申告され、徴収されているか、事業主に対する一括有期事業等に係る保険料の算定等に関する周知は適切に行われているか、一括有期事業等に係る算定基礎調査は適切に実施されているかなどに着眼して検査を行った結果、厚生労働大臣に対し、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め、及び同法第36条の規定により意見を表示したとのお知らせがありました(令和7年9月22日公表)。
今回の検査は、全47労働局管内の1,050事業主を選定して行われました。その結果、一括有期事業に係る保険料について、1,050事業主のうち、47労働局管内の480事業主において、概算保険料を納付した年度内に終了した一括有期事業に該当する元請工事の全部又は一部を一括有期事業報告書に記載しておらず、これらの元請工事の請負金額を含めることなく賃金総額を算定するなどして、この額に基づき確定保険料を算定して申告しており、これにより徴収額が計4,153万余円不足していたということです。
また、継続事業に係る保険料についても、1,050事業主のうち、44労働局管内の382事業主において、工事現場等で行われる建設の事業及び事務所等作業の両方に従事する労働者がいるにもかかわらず、継続事業の保険関係の成立の届出を行っていなかったこと、また、継続事業の保険関係の成立の届出は行っていたものの、事務所等作業に従事する労働者の賃金総額を確定保険料算定の基礎となる賃金総額に計上していなかったことなどにより、確定保険料を適切に申告しておらず、これにより徴収額が計1,618万余円不足していたということです。その原因について、複数の労働局が誤った周知をしていたことなどが指摘されています。
これを受けて会計検査院は、労災保険の保険給付に要する費用は保険料によって賄われていることから、保険料は徴収法等に基づき適切に徴収される必要があるなどとし、厚生労働省に対し、次のような是正改善などを求めました。
・事業主に対して、一括有期事業に係る保険料を適切に算定して申告するために必要な留意事項を周知徹底すること
・労働局に対して、継続事業に係る保険料の算定等に関する指示及び指導を行うとともに、事業主に対しても周知徹底すること
・マニュアル等で示すなどの算定基礎調査を着実に実施するための体制整備を図ること
詳しくは、こちらをご覧ください。
<会計検査院法第34条の規定による処置要求及び同法第36条の規定による意見表示(令和7年(2025年)9月22日)/「一括有期事業等を行う事業主に係る労働者災害補償保険の保険料の徴収及び算定基礎調査の実施について」>
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/kobetsu06/r070922_01.html
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