令和6年10月からの適用拡大 社会保険に加入した者が回避した者を上回る 理由は「将来の年金額を増やしたいから」が最多(JILPTの調査)
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)から、『「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)』の結果が公表されています。
・実査期間 (企業郵送調査) 令和6年11月14日~令和7年1月7日
(労働者Web調査) 令和6年11月26日~12月7日
・有効回答数(企業郵送調査) 9,067社
(労働者Web調査) 10,000人
調査結果のポイントは、次のとおりです。
〔企業郵送調査結果のポイント〕
●2024年10月より適用拡大対象となった企業の対応状況
常用雇用者51~100人の企業で要件を満たす短時間労働者(対象者)が「いる」場合に、(新たに)厚生年金・健康保険が適用されるのに伴い対象者と概ねどのような方針で調整を行ったか尋ねると、「できるだけ、適用する」が60.0%、「どちらかといえば、適用する」が5.1%で、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」が30.6%等となった。
●適用拡大に対応するための雇用管理上の見直し状況
常用雇用者51~100人の企業で要件を満たす短時間労働者(対象者)が「いる」場合に、厚生年金・健康保険の適用拡大に対応するため、短時間労働者の雇用・労務管理上の見直し状況について尋ねると、何らかの「見直しを行った(行う)」割合は38.2%となった。
見直しの具体的な内容としては(複数回答)、「対象者等の所定労働時間を延長(これに伴う人数抑制含む)」(64.3%)がもっとも多く、次いで「対象者等の所定労働時間を短縮(これに伴う人数増大含む)」(49.4%)、「対象者等を正社員へ転換」(11.0%)等となった。
〔労働者Web調査結果のポイント〕
●適用拡大に伴う働き方の変化
常用雇用者51~100人の企業に勤務する短時間労働者を対象に、自身の働き方や社会保険(厚生年金・健康保険)の適用状況の変化について尋ねると、「厚生年金・健康保険が適用されるよう、かつ手取り収入が増える(維持できる)よう所定労働時間を延長した(してもらった)」(3.4%)、「所定労働時間はそのまま、厚生年金・健康保険が適用された」(13.4%)を合わせて16.8%に対し、「厚生年金・健康保険が適用されないよう、所定労働時間を短縮した(してもらった)」は10.9%で、「厚生年金・健康保険は適用されておらず、働き方にも変化はないが、今後については検討している」が29.8%等となった。
また、厚生年金・健康保険に加入した(今後、加入したいを含む)理由について尋ねると(複数回答)、「将来の年金額を増やしたいから」(30.4%)がもっとも多く、これに「より長時間、働けるようになったから」(23.9%)、「保険料の負担が軽くなるから」(22.8%)等が続いた。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<『「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)結果』>
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250908.pdf
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