公的年金を担保として融資を行うことができるのは現在、国の機関である独立行政法人福祉医療機構のみとされています。主な金融機関では具体的な事務手続き等を独立行政法人福祉医療機構の代理店として取り扱っていますが、直接年金を担保に融資しているわけではありません。また、社会保険事務所や市町村役場では取扱っていません。融資対象は厚生年金保険、船員保険または国民年金(老齢福祉年金を除く。)の年金の支払を受けている方で、生業、住居、冠婚葬祭、医療などに必要な資金を融資しています。
したがって、貸金業者が行っている年金を担保とした融資は違法融資ということになり、現在では昨年末の法律改正によって、広告・勧誘の規制や、貸金業者による年金に係る預金通帳等の保管禁止などが定められています。
国の機関からの融資なので安心・安全・確実ですが、手続きが複雑であることや申し込みからお金が手に入るまでに時間がかかること等、使い勝手の面で少々難があります。また、年金を担保に国から融資を受けられること自体があまり知られていないため、違法な貸金業者はここに注目して融資を行っているようです。
以前にあった一例を挙げると、これらの業者は手続きが簡単なことと、即日融資が可能という利便性を強調して融資に持ち込み、年金証書・通帳・印鑑等を引取っていきます。その後は返済にあてるために業者側で管理する、といった名目で年金そのものが年金受給者に渡ることはありません。結果、生活費等に困った年金受給者は追加融資という形で自らの年金をその業者から受取ることになり、際限なく返済を続けなければならなくなってしまう、といったものでした。
答えは、Aさん。
平成16年12月28日より違法年金担保融資対策法(貸金業規制法の一部改正法)が施行されました。
1.広告・勧誘に当たって禁止される行為の追加
貸金業者は、年金等の公的給付の受給者の借入意欲をそそるような表示又は説明をしてはならない。
2.公的給付に係る預金通帳等の保管等の制限
貸金業を営む者は、貸付けの契約について、その貸付金の弁済を公的給付を原資とする資金から受ける目的で、法令の規定により譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないこととされている公的給付が振り込まれる銀行口座等の預金通帳やキャッシュカード、あるいは年金証書などの引渡しを求め、又は保管する行為を行ってはならない。
なぜこうした違法貸金業者に融資を依頼してしまうのか、独立行政法人福祉医療機構の融資と比較してみましょう。
| 独立行政法人福祉医療機構 | 違法貸金業者 |
| 融資までの手続きが複雑 | ほとんど無条件で貸付 ※ 独立行政法人福祉医療機構への手続き代行と称して法外な代行費用を請求する業者もあり。 |
| 実際に現金が手に入るまでに一ヶ月以上の期間が必要 | 即日融資もしくはそれに近い期間で現金の調達が可能 |
| 受給できる年間の年金額により融資上限があるため比較的小口の融資 | 基本的に融資上限なし |
| 金利は安いが返済条件が厳しい ※ 年金の全額か年金の半額を返済に充てなければならず、破産した場合でも免責はされない |
金利は高く返済条件も厳しい |
そもそも年金とは、老後の重要な生活費の一部、という考え方が一般的な捉われ方です。
したがってその生活費を担保にしてまで借入れを行うという行為はどうなのか、といった点が国として年金担保貸付事業を積極的に推し進めない理由の大きな一つであろうといえます。違法貸金業者はそこに狙いをつけ言葉巧みに融資を行っているのです。



















































