第8回 株式会社ヒビコレ 稲留達人先生
今回は、社労士でありながら、「総務の森」を立ち上げたり、社労士版のSNS(ソーシャルネットワーク。mixiのようなもの)「ヒビコレ社労士」を始めたり、幅広いビジネスを行っている、株式会社ヒビコレの稲留達人先生にインタビューをさせて頂きました。
稲留先生は、つい数ヶ月前、PSR正会員に申し込んでくださいました。稲留先生の申し込みをほぼリアルタイムで知った北村は、「おお、ヒビコレの人が!」と興奮していました。
そんなすごい「ヒビコレ」の稲留先生がせっかくPSRに入ってくださったので、早速、インタビューに伺いました!
稲留先生は、いわゆる「社労士」がしているのとは随分違うお仕事をされている方ですが、こういう方のお話を聞くと、「社労士業務とはこういうものだ」という固定観念に縛られず、視野を広くもって社労士業を「ビジネス」として行っていく大切さを感じます。
稲留先生は、品川の近くの事務所で働かれています。
前回インタビューにご登場いただいた松山先生と同じようなお洒落なシェアオフィスで、事務所からは、電車の車庫なども見え、鉄道マニアだったらワクワクしそうなお部屋でした。
↓ 窓からの風景

↓ 普段はこんなふうに働かれています!

インタビューは応接室でお願いしました。

稲留先生というと、「総務の森」の創設者というイメージが強いですが、社労士や総務の森を始める前は、なにをされていたのですか?
実は、大学4年生のときに社労士試験に受かって、それからすぐに「総務の森」を始めたので、社会保険労務士事務所に勤めていたことはありますが、それ以外の会社に新卒で勤めたというようなことはないです。そういう意味では、社労士一色でやってきています。
珍しいですね。
私も大学時代に社労士試験を受けました(私は、落ちましたが(汗))。それは受かったら就職に有利かなと思ったからだったのですが、稲留先生は、そういうつもりで受けたわけではなかったのですね?
大学1年生のときから、独立志向があったんです。だから、大学3年生になり、周りが就職活動をし始めても、何か独立してやっていける仕事はないか考えていました。
社労士試験を受けたのは、父親が総務人事関係の仕事をずっとやっていたので特に親しみがあったからです。
そうだったんですね。
では、「総務の森」も、もともとそれをビジネスにしようと思って始めたということですか?
いえ、そういうわけではないです。
試験に合格された方ならみんな分かると思いますが、残念ながら、試験というのは受かってしまうと、そのときの記憶は劣化していく一方なんですね。
それはもったいないし、どうにか知識を保っていたいという思いから、まずメルマガを出すことにしました。当時、「まぐまぐ」の全盛期でしたから、1回出して、「新着メルマガ」として紹介されると、すぐ2000人の読者がつくという感じでした。それで、おもしろくて、6誌も出していました。「労働法」「社会保険」「労働保険」「厚生労働省新着情報」など。結局6誌で4万人くらいの読者を当時は抱えていましたよ。
4万人! すごいですね。今は、1000人読者を獲得するのも大変だと思いますが、始める時期というのは大切ですね。
大事なのは「1番に始めること」だと思います。当時、総務とか人事というキーワードで情報提供する人はほとんどいませんでしたから、目立ったのだと思います。
「総務の森」は、6誌のメルマガのバックナンバーがどんどんたまっていき、そのままにしておくのはもったいないなと思って、作ったものでした。
はじめは、「ホームページビルダー」を使って、見よう見まねで作った、本当に「素人」のサイトでしたけれど、メルマガからどんどんサイトにも誘導していって、サイトのページビューもどんどん増えていきました。
流れに乗った感じですね。羨ましいです。でも、流れに乗るべく、ちゃんとやることをやってきている、という感じも受けますね。ところで、「総務の森」というネーミングですが、なぜ「人事」ではなく「総務」にしたのですか?
確かに、「総務」というと幅が広いので、社労士の範囲の情報しかなくて「総務」と名づけることに遠慮もあったのですが、今後、もっと広げていくという思いも含めて、あえて「総務」とつけました。
でもこれが、結果としてよかったですね。「総務の森」は、立ち上げて1年くらいで、インテリジェンスという人材紹介・人材派遣会社から「広告のバナーをつけられませんか?」というお問い合わせを頂いたのですが、広告枠を作って、1社のバナーをつけたら、それからは、人材紹介・人材派遣・コピー機・印鑑の会社など、様々なところがスポンサーになってくれました。「総務」というキーワードは非常に良かったと思います。「人事の森」でしたら、ここまでにはならなかったのではいかと思います。
もともと、ビジネスにするつもりで始めたわけではなかった「総務の森」から広告収入が入るようになってきたということですが、「総務の森」を運営する以外にも、社労士として顧問をとるなどの活動もされてきたのですか?
そうですね。もともと社労士の試験に合格したときは、あくまで実務家として活躍したいと思っていました。ですから、すぐに開業したわけではないですが、メルマガにしても、「総務の森」にしても、のちのちそこからお客さんがとれたらいい、ということも考えていました。
また、「総務の森」が次第に有名になっていくにつれ、そこに執筆している自分が実務をしているわけではないことに、違和感も覚えてきました。それで、大学卒業後、少ししてから老舗社会保険労務士事務所にお世話になり、実務経験を積ませていただきました。
そして、「総務の森」に安定的にスポンサーがつくようになった頃、自分の事務所を開業しました。
いわゆる「社労士業」もされているのですね?
自分としては、実務をやりたいという思いが強いので、ご紹介いただいた仕事は必ず受けています。手続の仕事と、相談業務ですが、大規模事務所に比べますとまだまだ件数は多くありません。社労士業務は情報が命ですから大規模事務所に負けない情報リソースを得ることが顧問先への信頼につながると考えています。
今回、PSRに登録させてもらったのは、「情報提供の早さ」と「豊富な提案コンテンツ」が揃っており、顧問を頼んでいただいている企業に、より質の高い情報を提供できると思ったからです。
ありがとうございます。是非、色々ご活用頂けたらと思います。
でも、実務をしながらも、あくまで、稲留先生が力を入れているのはネットを使ったビジネスという感じでしょうか?
確かに、「総務の森」は数年前にカウネットに権利を移譲しましたが、企画・運営はいまも引き続き担当しています。コンテンツの制作から問い合わせ対応まで幅広く関わっています。
あと、「総務の森」を移譲してからは、「ヒビコレ」というサービスを立ち上げ、そちらに注力しているのも確かです。
ただ、精神的には、自分はずっと「社労士」です。もっと実務をやりたいという気持ちは常にあるのですが、自分が外から期待されていることは、実務以外のことで、そういうものをやっていると、なかなか実務の仕事を増やせないというのがいまの悩みですね。
お忙しそうですものね。
ところで、今「ヒビコレ」のお話が出ましたが、「ヒビコレ」について、もっと聞かせていただけますか?
「ヒビコレ」は、「日々是 精進」とか「日々是 勉強」とか言う「日々是」からつけたネーミングです。社労士でしたら「日々是 就業規則」とか「日々是 労働法」とか、そんなふうに頑張っている方を応援する場を作りたいという思いから立ち上げたサービスです。
はじめは、mixiのようなSNSのサービスで、社労士専用の「ヒビコレ社労士」を立ち上げたのですが、今は、シャラランの大沢さんと組んだ受験生用の「ヒビコレ×シャララン社労士受験生」や、社労士事務所が求人できる「ヒビコレジョブ!」も運営しています。
「ヒビコレ社労士」SNSには1200名を超える社労士が登録されているとか?
おかげさまで、登録者も大分増えてきました。受験生用はもっと多く、1600名を超えています。
社労士用のほうは、実務をされている先生の日記を読んだり、情報交換できるのが人気です。そこで知り合って、リアルの場で懇親会をして、仲間を増やしている方も多いですよ。
私も以前、ヒビコレのオフ会に何度か参加させて頂きました。その節は、お世話になりました(笑)「ヒビコレジョブ!」のほうも最近、求人の登録が増えているようですが、たとえばハローワークなどに求人を出すより、有料であっても「ヒビコレジョブ!」に求人を出すほうがいいという、ポイントはどんなところにあるのでしょう?
不景気ですと、ハローワークからも優秀な人が来るかもしれません。でも、ハローワーク経由で面接に来る方は、たとえば、北村先生の著書などは読まれてから来ますか? 結構、「北村先生って誰?」というレベルの人が多く来ませんか?
「ヒビコレジョブ!」から応募する方は、意識の高い人が多いですから、そこから申し込んでくる人なら、ほとんどの人が、きちんと北村先生のことを知って、著作もきちんと読んで、応募してくると思います。
そういう質の高い応募者の多いことがヒビコレジョブ!のお薦めできるポイントです。
それから、有料といっても、成功報酬型ですから、掲載料はかかりません。ヒビコレジョブ!経由で応募してきた人を実際に雇ったらいくら、という契約になっています。
なるほど。失敗のない採用をしたい方にはお薦めですね。
どんどんサービスが増えていっているように見えますが、今後の展開として考えているのはどんなことですか?
色々なことをやっているようで、自分がやりたいことは一貫して、「頑張る人を応援する場所作り」です。それを続けていきたいですね。
まずは、ヒビコレSNSと、総務の森の連携などをしていきたいと考えています。
あとは、ネット上だけではなく、リアルな場で交流ができる場も作っていけたらと考えています。名刺交換だけで終わるのではなく、きちんとした人脈作りができる意味のあるコミュニティを作れたらと思っています。
その他にも、毎日のように新しいアイディアは浮かびます。でも、以前と違って、実行に移す率はかなり落ちましたね。本当にこれはいけると思わないと、実行しないようになりました。
でも、本当にいいと思ったアイディアは引き続き、実現させていきたいです。
それだけ豊富にアイディアがあるのなら、人を雇って事務所を大きくしていくという構想はないのですか?
人を雇うと自分の頭の中の半分以上が、「この人に何をしてもらおうか」とか「なんでこんなことができないんだろう」とかそういったことで占められてしまうので、自分にはあまり向かないと思っています。ですから、できるだけ少数精鋭でやっていきたいですね。人を増やしていくより、他の会社などとアライアンスを組んでやっていかれたらと思っています。
確かに、自分ができる人は、人を使うことにストレスを感じそうですね。
ところで、前から気になっていたのですが、稲留先生は、いわゆる普通の社労士業をしている社労士の先生をどのように見ていらっしゃるのですか?
実務ができたり、セミナーで話せたりする先生は、心から「すごいな」と思います。
あこがれますね。
私はてっきり、「もっと視野を広く持って、幅広いビジネスを考えないと」と思っているのかと……。
そんな上から目線で見ていないですよ(笑)
自分も早く実務家として一人前になりたい、という思いが強いです。
実務の面では、常に劣等感を持っていますからね。
そうなんですね。誤解していました。それでは、最後に、開業したいと思っている方、開業間もない方にアドバイスなどありましたら、お願いします。
アドバイスできるほどのことはしていませんが……ひとつ言えることがあるとしたら、「はじめに決めた自分の柱に固執しすぎないように」ということでしょうか。
開業しようとしたとき、自分は就業規則でやっていこうとか、飲食業専門でやっていこうとか、自分なりの柱を決めると思います。
でも、往々にして、自分が思っているのとはまったく違う仕事を初めに頼まれたりするんですね。それは趣味で得意なものだったり、社労士業務に全然関係のないものだったり。自分にとってのWEBのように。
でも、断らずにやっていると、まわりまわって、そこでつきあいのあった人から、社労士の仕事が紹介されたりするのです。
ですから、まず、はじめのうちは、「思っていたのと違う」と思った仕事も断らずに受けてみるといいと思います。
それから、人から頼まれた仕事をしていくうちに、「自分が人から何を求められているのか」が見えてくると思います。それが見えるか、見えないかで、その後、大きな差が出てくると思います。
「自分は人から何を求められているのかに早く気付いて、気付いたら、柱にしたい仕事と上手く融合させることができないかを考えて、オリジナルなサービスを生み出しましょう。そうすれば、はじめた瞬間から自分が1番になれるのです」ということをお伝えしたいです。
深いですね。
今日はお忙しいなか、お時間を頂き、ありがとうございました。
確かに普通の社労士の先生とはまったく違ったお仕事をされていらっしゃいますが、社労士の仕事や世界に対する思いは、他の先生と同じかそれ以上なのだということが分かりました。
これからも色々なサービスを立ち上げて、頑張ってください!
ということで、同業者の仲間を増やしたい方は
「ヒビコレ社労士」
質の高い人を雇いたい事務所の所長先生は
「ヒビコレジョブ!」 をどうぞ!
【2010年5月】
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