第5回 畑中社会保険労務士事務所 畑中義雄先生
インタビューも、もう第5弾になりました。
今回は、有限会社 人事・労務のチーフコンサルタントであり、日本ES開発協会幹事の畑中義雄先生にお願いしました!
畑中先生は、「趣味」で「かっぱ会」という有資格者の集まりを開催したり、有限会社 人事・労務の主催されている「体感! 人事制度導入プレゼン講座」の講師をしたり、東京の事務指定講習に合わせて「パネルディスカッション」を開いたりされている先生ですので、ご存知の方も多いのではないかと思います。
畑中先生は「畑中社会保険労務士事務所」の代表、8年目の開業社労士ですが、有限会社 人事・労務のチーフコンサルタントとしても活躍されています。有限会社人事・労務と畑中先生がいらっしゃる合同事務所は同じビルにあるのですが、体育会系の人が多いようで、活気とエネルギーを感じる場所です。
本日も私が伺ったところ、扉の向こうから、「お客様がいらっしゃいました」「はい!」というびっくりするような掛け声が聞こえてきました。
ブレインも、見習わなくては、と思います。
インタビューは3階でさせて頂きました。「かっぱ会」などが開催されている場所です。

畑中先生は、社労士になる前は、真珠の営業をされていたと聞いていますが、そこからどうして社労士になられたのですか?
私はもともと関西の人間ですが、東京支店に転勤になったんですね。もともと「営業」といっても、「買ってください」というより、「売ってあげてもいいですよ」というような非常に楽な営業でしたし、残業もほとんどなかったのですが、東京に来て、さらに自分の時間が増え、「なにか資格でも取ろうかな」と思ったのがきっかけです。ちょうど教育訓練給付が始まって、1年目でしたし。
暇になると資格の勉強でもしようかなと思う、というのはありますよね。でも、なぜ社労士だったのですか?
1年くらい勉強したらとれるもの、ということで探しました。行政書士や簿記なども検討しましたが。会社を辞める気はまったくなかったので、あくまで「社内でのキャリアアップに役立つもの」という視点で選びましたね。
別に営業職を辞めたいとも思っていませんでしたが、もともと営業か総務がいいなと思っていましたし、いずれ将来的に人事関係の仕事をすることもあるかな、と。それくらいです。
それで、「1年」の勉強でとれたのですか?
はい。1年目に合格しました。
私はTACに通っていましたが、平日週2日、カリキュラムどおりにきちんと進めることを大切にして進めました。6月頃の模擬試験では、CかD判定でしたが、最後の2か月、必死に頑張りました。夏休みが2週間ある会社だったので、その2週間は、朝から晩まで勉強していましたね。その結果、一番集中力が高まっているところに試験日がちょうど合ったという感じです。
はじめのうちに自分なりにペースをつかんだことと、うまくラストスパートをかけられたのが良かったと思います。
その後、「社内でのキャリアアップ」のための資格で独立開業してしまったのはなぜですか?
せっかく資格をとったからということで、日本マンパワーの独立開業講座を受講しました。まだこのときも独立開業しようと決意していたわけではなく、ちょっとした興味程度で参加しました。ただそこで知り合った矢萩先生(「有限会社 人事・労務」代表)とかなり親しくなり、「うちでインターンをしないか」と誘われ、週3回、仕事が終わったあと7時から11時くらいまでインターンとして働き始めました。
次第に矢萩先生の世界に取り込まれていった感じですね?(笑)
そうですね。インターンのときは、コピーをとったり、資料の整理をしたりといったいわゆる「雑用」をしていましたが、組織図や評価シート、他の人の給与明細など、今まで目にすることがなかったものを見るようになり、強い関心を抱くようになりました。
それで、開業に踏み切ったのですね?
ちょうどそのとき、矢萩先生が合同事務所を作ろうと思っているところだったので、その合同事務所に誘われて第1期になりました。1期生は3人ですが、そのうちの1人が、就業規則コンサルタントとして活躍している下田直人さんです。
そのときは、仲間がいるという安心感から、独立するというより、「転職する」という程度の認識だった気がします。
その甘さが、開業後3年ほどの苦労につながっていくのです……。
1件目の仕事はいつ頃とれた、何の仕事だったのですか?
1件目は新適ですね。事務組合から委託されて、未適事業を訪問するという仕事をしていました。1件訪問してその報告をあげると、500円とか1000円をもらえるというアルバイト的な仕事ですが、そこで仕事をもらってもいい、ということで、飛び込んだ先で1件、仕事がもらえたのです。そこが半年後、顧問契約も結んでくれ、初の顧問先になりました。
ただそれ以外、本当に、全然、仕事がなく、つらい日々が続きました。
私は社労士合格の4日前に1番目の子供が産まれているのですが、つまり、子供が産まれたばかりなのに開業してしまい、貯金を食いつぶす生活になってしまったのです。開業時には妻との貯金合計が900万円くらいあったのですが、1年で300万円ほどになってしまいました。900万円あれば、3年くらいはもつだろうと思っていたのですが……。
精神的にかなり追い詰められていて、ある時期、朝ごはんを食べると、これから仕事に行かなくては、というプレッシャーで毎日食べたものを戻してしまうような日々が続きました。
それは、しんどいですね。そこから抜け出せたのは、なにがきっかけだったのですか?
人事制度のDMを出したことですね。
もともと矢萩先生の事務所にいて、「3号業務」をやりたいと思っていたのですが、自分の中で「1・2号をちゃんとできるようになってからでないと、3号業務はできない」という思い込みがあったのです。
それで、必死に1・2号業務を受注すべく営業をするのですが、1・2号をやりたいわけでもないですし、社労士が必要な会社は既に顧問社労士がついているしで、まったく上手くいきませんでした。
そこで方針転換して、「就業規則を作りませんか?」「人事制度を作りませんか?」という内容のDMを作り、3号業務の営業を始めました。
第4弾でお話を伺った桑原先生は、あまりDMでは効果を出せなかったと言われていましたが、畑中先生のDMは反応がよかったのですか?
50通出して、7,8件アポが取れました。
ただこれは、向こうの反応を待ったわけではなく、DMを出して少ししてから、こちらから電話をかけた結果です。しかもアポと言っても、時間を指定しての約束ではなく、「明日、近くを回るついでがあるので、資料をお持ちしてもよろしいですか?」と資料を届ける約束をした、というだけです。
それでも、実際に会って人事の話をすると、中小企業の場合、そういう話をしてくれる人が当時(8年前)いなかったというのもあり、結構聞いてくれる人は多かったです。
一応それまでにセミナーに出たり、自分なりに勉強はしていましたが、それだけでコンサルの仕事がとれるなんて、恵まれた仕事ですね。
訪問3回目くらいで見積もりを渡すという形で進め、結果、50通のDMから3件の人事制度を受注できました。
すごい率ですね。
もともとそのDMを出した「50社」というのは、どうやって見つけたものなのですか?
当時はお金がなかったので、交通費もかけたくなかったですし、ともかく事務所の近所で探しました。条件は、事務所の近くで、インターネット上に求人を出しているところです。
なるほど。求人を出しているところにはそれなりに社労士の需要がありそうですものね。でも大事なのは、DMのあとのフォローなのですね。
今もDMを出したりされているのですか?
今は、「有限会社 人事・労務」で仕事を取って、その仕事を一緒にするということが多いです。もちろん個人の事務所の顧問先というのもありますが、一定規模以上の会社のコンサルは法人の方がとりやすいですからね。執筆の仕事も法人経由で受けています。
「有限会社 人事・労務」の方は、どのように営業されているのですか?
ホームページから依頼が来ることが結構多いですよ。
最近は紹介が多くなってきていますが、人事制度についての本なども出していますので、本を読んだ方からの問い合わせも増えています。
有限会社 人事・労務のホームページはいいですものね。
現在、畑中先生自身の業務としては、どんなものが多いのですか?
かけている時間で考えると、一番多いのは、人事制度・賃金制度を構築したり、サポートをしている時間ですね。常に構築中の会社5社、サポート中の会社5社程度を持っている状態ですので、人事・賃金制度関係の仕事だけで5割以上になります。そして、2,3割は労務相談対応ですね。私は手続や給与計算などはまったく受けていませんが、労務相談の顧問をいくつも持っていますから。会社によって相談の多いところ、少ないところは様々ですが、一番安くて月15,000円、100人以上の企業だと月50,000円くらいもらっていますよ。残りの2,3割が「かっぱ会」などの企画や、本の執筆などになっています。「かっぱ会」は趣味のようなものなので、収益は全然出ませんけどね。
労務相談だけで、結構大きな固定収入になるのですね。
そうですね。私は人事制度を作るときも、スポットでは受けず、「労務相談」の顧問をベースにした契約をし、構築中は、その顧問+構築料を月いくら、でもらっています。ですから、構築やサポートが終わっても、労務相談は残る形になります。
ただ、先ほども、相談の多さは企業によりけりと言いましたが、従業員とのトラブルが絶えなかったり、社長がすぐに従業員を解雇したいと言い出したりするところもありますが、しばらく訪問していないな、という会社もあります。
そういうときに助かっているのが、PSRのコンテンツです。私は毎月事務所通信を発行するということはしていませんが、PSRの事務所通信の記事の1つ、2つを切り出して、顧問先に持っていき、「こういう改正がありますけれど、知っていますか?」とちょっと挨拶するのに使っています。
民主党のマニフェストや新型インフルエンザ対策についての記事など、タイムリーな情報が多くもらえて助かっています。事務所通信のひな型などを提供しているところは他にもありますが、PSRのコンテンツは、一般の人にも分かりやすい形になっているし、一番質が高いと思いますよ。
ありがとうございます。そういって頂けると、とても嬉しいですね。
他にも使っていただいているコンテンツなどありますか?
トピックスや法改正情報も使っていますよ。
トピックスは自分なりにアレンジしてレポートにして顧問先に渡したりしています。正会員・準会員は自由に利用してください、というようになっていますしね。
社労士として、PSRのコンテンツに書いてある以上のことを勉強しなくてはいけないと思いますが、そういう情報や知識をきれいにまとめる時間はなかなかないので、ツールにまとめてもらえるのは助かります。
ところで、今後の展開として、なにか考えていることはありますか?
人事制度をメインにしていくということは変わりませんが、これからは有限会社 人事・労務が力を入れている「ES」の仕事を自分も増やしていきたいと思っています。
ES(従業員満足)というのはクレドを作るとかそういったことですか?
そうですね。クレドを作るコンサルなどもしていますが、もっと広く、働く環境を良くしよう、という活動すべてですね。社労士だからできる社会貢献をするといった意味です。
日本ES開発協会のメンバーを中心にした、街道を歩くなどのイベントもされているようですが、それはどういった目的のものなのですか?
色々やっていますが、たとえば学生などと一緒にゴミ拾いをして「働く」ということがなにか若い人と一緒に見つめよう、とか、そういった試みです。
私は「幹事」という立場で、あまり実際の活動はできていないのですが。
社労士になって良かったことと大変なことを教えてください。
全面的に社労士になって良かったと思っています。
やりがいもありますし、誇りがもてる仕事です。家族に対しても、お父さんはこういう仕事をしていると胸を張って言えますしね。
それに、自営業だったら社労士に限らずそうだと思いますが、自分で決められるということや、自分さえ頑張ってスキルアップしていけば未来は明るいというところですね。
逆に大変なのは、仕事とプライベートの区別がつけられないということです。たまに携帯を置いて出掛けることはありますが、それでも、頭のスイッチは切れないというか。
そうですよね。
最後に、駆け出しの先生にアドバイスなどありましたら、教えてください。
ともかく、社労士はやりがいがあって、本当にいい仕事だということを一番言いたいです。
それにまだまだ社労士を求める市場はたくさん残っています。「働く人がいる限り社労士の仕事はある」ので、チャンスがまだまだあるのは間違いない。
ただ、開業してすぐの自分がそうであったように、そのチャンスをつかめるかつかめないか、だと思います。
なかなかすぐにはチャンスをつかむのは難しいかもしれない。でも、我慢して、持ちこたえられるかだと思います。
そして、チャンスをつかむためには、動くこと。動き続けることです。
何もしないのが一番悪い。
私はたまたまDMで最初のきっかけをつかみましたが、紹介を生み出すために色々なところに顔を出したり、セミナーの営業をしたり、人によってはホームページを作ったり、一緒にやっていた下田直人さんのようにメルマガから成功する人もいますから、そういうものを作ったり、なんでもいいので、動くことです。
私もはじめに人事制度の契約が取れたのが9月でしたが、7月から動き始め、8月にアポがとれ、9月に契約が取れ、お金が振り込めたのは10月末日でした。つまり、動き出してからお金になるまで時間がかかります。
だからこそ、ともかく「今」動くことが大切です。
繰り返しますが、社労士は本当にいい仕事です。人を雇うことがなくならない限り、ずっと必要とされ続ける仕事です。是非、頑張ってください。
お忙しいなか、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。
畑中先生のお話を伺っていると、心から「社労士」というのはいい仕事なんだなぁ、ということが感じられます。これからも、働く人の幸せを増やすために、頑張ってください!
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